Doll Maniacs

DODドールを購入するまで

 

このサイズで、この体型で、そして球体関節人形を、私が買うのはまったく始めてのことです。
かと言って、興味がなかったわけでもありません。
いつものお人形を買うのと全然違うときめきがあります。

そのあたりの事情を書いてみました。

CAUTION かなり厳しい…というか、ひどいことも書いているかもしれませんが、謝るつもりはありません。
抵抗のある方は読まないで下さい。


 

私は、今をさること10年以上前から(正確に言うと14年)人形を集め出した。

人形者として、わりとあらゆる人形に幅広く興味がある。

専門的に詳しくはないけれども、ビスクドールや雛人形、創作人形などにもとりあえずの興味がある。辻村ジュサブローから四谷シモン、ホリヒロシなどの人形展などにも当然足を運ぶ。
体質として、人形と聞けば、条件反射的に振り向く傾向にあるのだ。

玩具メーカーが販売する人形の情報には、当然のように神経質だ。
だから、ボークスがSD(スーパードルフィー)を発売した時も、いつものように注目し、興味深く見ていたのだった。

コンセプトや造形はともかく、SDで注目したのは、その体型のバランスだった。バービーはアメリカの人形だから足が長くて当然だけれど、日本の人形のジェニーは、それ以上に足が長い。
むしろ長すぎていびつだ。胴体が異常に小さい。

ファッションドールだから足を長く作っているのかもしれないが、異常に伸びた足に、いつも違和感を持っていた。胴体がほんの少ししかなくてバランスが悪い。とくに、ドレスを作る時にとても苦労するし、不満が残った。
せめてバービーくらいの胴の長さがないと、人形としての存在感がない。

 

そんな時に現れたSDのボディのバランスは新鮮だった。
4頭身か、5頭身くらいの頭の大きさもいい。
胴体が丁寧に作られていて、これならちゃんと内蔵が入っている、と想像させるボディだ。
存在感が抜群だ。

何よりもいいと思われたのは、頭(ヘッド)の大きさである。

尤も、最初にSDを見た時には、ファッション・ドールに慣れていたので、ウエストが太いとか、ずん胴だとかいう不満もあった。
設定年齢が低かったからだろう。

詳しくは知らないけれど、9歳か10歳くらいの設定だったのではないだろうか。私としては、その年齢が幼すぎて、抵抗があったのも確かだ。

それに、何よりも、大きすぎる。
全長60センチは私には大きすぎた。

そして、さらに値段が高い。
今まで馴染んで来た人形から比べたら、とんでもない値段だ。

アンティークドールやビスクドールではあるまいし、普通の人形に7万も8万もの値段を設定をしていることに、憤りを感じた。

 

けれども最も抵抗を感じたのは顔の造形だった。

目が大きく、鼻が小さくとんがっていて唇が異常に小さい。しかも顔が横に伸びていて平べったい。
日本のアニメそのままの顔が、どう逆立ちしても私の美意識には馴染まないのだった。
アニメの顔が、グラスアイのリアルな立体になっている、ということに抵抗を感じたのかもしれない。

日本の若い人の中には、アニメと人形を等価で考えている人がいるのかもしれない。けれども私はアニメは好きではなく、単に人形者である。アニメと人形とを決してパラレルで扱うことはないのだ。

そんなわけで、どんなにSDが流行ろうと、私の美意識に合わないこの人形を、高いお金を払って買うという気持ちには、どうしてもなれなかった。

 

ある日、SDからもう少し小さいサイズのミニSD(MSD)が発売された。
これは、40センチくらいのサイズで、私にはちょうどいいサイズだ。

これにはかなり触手が動いた。
小さな子供だから、ずん胴体型も許せる。

実は、SD13(サーティーン)が出た時も、かなり興味があったのだが、けれども普通のSDよりももうひとまわり大きいし(?)、値段もひとまわり高いので、商品として肯定出来るものではなかった。

MSDは小さいだけに値段もかなり安くなる。これなら、射程距離圏に近くなる。
と、MSD獲得に意欲をみせたが、どうしても踏み切れないネックがあった。

それが顔だ。

SDと同じようにどれもこれも同じ顔だし、バリエーションがない。私の美意識にはどうしても合わない顔だった。

人形は顔が命。私は、人形を買う時、兎にも角にも、どの人形も顔だけを基準にしている。顔が私の気に入れば、ドレスがダサかろうが、バカ高かろうが、買うのだ(と思う)。
だから、MSDの場合も、買う気持ちになれないままでいた。

人形好き、とみずから任じているだけに、この事情は私にしてもとても残念なことだった。
人形ならばとりあえず欲しい、という気持ちになるのが私の本能だからだ。

 

だいぶ経ったある日、オークションで見たことのない人形が出品されていた。

それは、まるで創作人形のようで、美術品のようでもあった。
韓国の人形のカスタムだと説明に書いてあった。出品者も韓国の人だった。

サイズはMSDくらいで、同じような球体関節を持ち、グラスアイが嵌めてあった。その人形は美しかった。

それがきっかけとなった。

 

それまで韓国ドールのことは、殆ど念頭になかった。
知識も持ち合わせがなく、単にSDのパチだくらいに思っていた。

オークションに出ていた人形は、韓国のメーカーが販売した人形を、素人がカスタムしたものらしかった。
だから、オンリーワンであり、純粋なメーカーものとは言えず、韓国のどのメーカーでも売っているものではなかったのだが、逆上した私はそんなことはどうでもよくなった。

パチでもカスタムでも、オリジナルでもコピーでも何でもよい。
あのような美しい人形がこの世にあるなら、もしそれがコピーだったとしても、コピーでも構わないし、パチでも粗悪な品でも許せる。

韓国製であろうと、台湾製であろうと、シンガポール、ベトナム、イラク、南アフリカであろうと、北極であろうと、どこでもよいのだ。それが美しい人形であるのなら。

私はメーカーの信者ではない。私自身の美意識を信じる者であるというだけだ。

 

韓国の人形が、あのように美しい人形であるなら…。そんな思いで、私は狂ったように韓国ドールについての情報を得ようとした。
そして、初めに辿りついた韓国のドールメーカーが、DODだった。

DODは、オークションに出ていたあのカスタム人形の元のメーカーではない。
そして、この社が販売している人形も、私が見たカスタムとは似ていないし、あれほどに美しいわけではなかった。

けれども、私の目には、DODのドールは、あのカスタムドールとはまた違う美しさを持っているように見えた。
美しい。確かに美しいと思えた。

そう思った途端に、私は既に決意していた。
買おう、DODドールを買おうと。

 

幸いなことに、DODドールはすべて40センチくらいの、MSDサイズだ。それも気に入った原因のひとつだ。
持っていても持て余さない程度の大きさだ。

もし、SDにDODドールのような顔のバリエーションがあったなら、私はためらいなくSDを買っただろう。
球体人形であるとか、大きさであるとか、そんなことはどうでもよかったのだ。ただ、顔。顔の美しさが、購入の条件なのだった。

ただDODと言ってもどうせ(SDの)パチドールなのだから、値段は安いだろう、SDの半額くらいだろうと思っていたが、決して安くはなかった。
それが、想定外のことだった。

MSDサイズだから、SDよりは安いけれど、MSDの値段と比べたら同じくらいか、ややもするとMSDより高いものもある。

購入の方法にも、言語とシステムのネックがある。
MSDと同じ値段なら、日本で買いやすい(?)MSDを買った方がいいのではないか。けれどもそうはならなかった。

 

もちろん、私の好みの顔ということもある。ただ、最近のMSDには、私の目にも嫌味のない、それなりのものが出現していた。

けれども意外にもMSDは、決して買いやすくはなく、今これが欲しい、と思っても売っていない、ということが殆どらしいのだった。

それに比べれば、DODは、サイトに出ている写真のものならば売っている。
オーダーしてから時間はかかるが、確実に欲しいものが手に入るのだ。

そして、本当に欲しいものなら、ある程度の値段でも買うのだということと、言語などの障害に対しても、あらゆる努力をして超えようとするものだ。

こうして、DODを購入することへの障害は取り除かれ、私は私の望む人形を手に入れることが出来たのだった。


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