Review - Comic

メイク・ミー・ハッピー

宮本佳野

Super BBC

ビブロス

2005

2006/5/23

「ビーボーイラブ」のオヤジ特集に掲載されているのを読んで宮本佳野という人に興味を持ち、単行本化されたので、それを買ってみたのがこの本。

彼女の良いところは、登場人物にリアリティがあって、絵空事ではないところ。

フリーターにしろ、独立した事業主であるにしろ、独立を目指して頑張っている人にしろ、きちんと仕事をして、きちんと社会で生きているというバックグラウンドがしっかり描かれている。

ボーイズラブには、でかい会社の社長と、それに飼われる美少年、という組み合わせが圧倒的に多くて、そして社長が必ず超絶の美形だったりして、なんかもう、絵空事の究極を見ているようなものばかりで、それが、夢見る女性たちが求めているBLの形なのだろうけれど、そういうのはあまりにも空々しすぎてついて行けない。

宮本佳野の作品にはそういう空々しさがなくて、この生き難い社会を何とか懸命に生きようとあがく普通の人々の息遣いのようなものが感じられる。そこが、気に入っている点だ。

 

とはいえ最初に読んだ「キスミー・ダディ」が一番のお気に入りで、これは中年オヤジ(といっても30代半ばなので青年と言ってもいいのに)と、大学生アルバイトの美少年のお話で、気が弱いが優しいオヤジ(ノンケ)に美少年がアタック、気の弱いオヤジが寄り切られるという、甘くてハッピーエンドの話。短編まんがではこういう軽さがいい(続編もあり)。

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