7/

02/7/6 サッカー嫌いの見たW杯のこと 1
02/7/8 サッカーより選手の姿…オリバー・カーン
02/7/12 引越しのサカイのCM
02/7/29 ザ・クイーンズコンサート

02/7/29 ザ・クイーンズコンサート

バッキンガム宮殿前の野外コンサートというのがあって、ネットのかたわら、テレビを見ていた。
エリザベス女王戴冠50周年記念コンサートとのこと。
よく考えたら、女王の住む宮殿の庭でコンサートを行なうなど、大変なことのような気もする。

どうせ良く知らないアーティストばかり出て来るんだろうと思っていたが、若い歌手でもシュープリームスの歌を歌っていたり、どこかで聞いた歌を歌っていたりしている。
「ロング・アンド・ワインディングロード」を下手くそに歌っている若い女性歌手もいた。
全体的にはどちらかというと、新しいシンガーの良く分からない曲ばかりというよりも、なつメロ大会的だった。

郷ひろみの歌ったアチチの原曲を歌った人らしき歌手(?)がその原曲を歌ったり(違うような気がする…)、突然フィル・コリンズなども出て来る。ブライアン・アダムス、アン・レノックスなど知っている人も登場と思うと突然トム・ジョーンズが出て来てびっくりする(齢62歳である)。
それどころか、シャーリー・バッシー(65歳)が出て来て「ゴールドフィンガー」を歌う。
クリフ・リチャードまでが出て来て度肝を抜かれた。

フィル・コリンズは、言ってみればサザンのような感じか。
トム・ジョーンズなんて、三波春夫のようなものではないか。
シャーリー・バッシーは畠山みどりか。

イギリスという国は、日本と心持ちが似ているのだろうか。
一曲のヒットで終生それを売りにしていこうという根性が逞しい。
本当に、こうしたかつてのスターは、一曲で食べて行けているのだろうか。思わず心配してしまう。
というか、私の所に届いてこないだけで、きっと英国の彼らは彼らなりにちゃんと活動をしているのだろう。

 

クレイジーなオジー・オズボーン、エルトン・ジョン…、英国のスター総出演である。
何故かブライアン・ウィルソンが「グッドバイブレーション」を歌う。
えっ?エリック・クラプトン!?
知名度の高いアーティストが多いのが良かった。

特にすごかったのは、紛れもなくクイーンのパートだ。
ステージにおいてあるドラムセットにクイーンの名が誇らしげに書いてあるので、いつかクイーン(ゆかりのグループ)が登場するのだろうと思っていたら、ロジャー・テイラーとブライアン・メイが登場した。

私は特にクイーンを好きではなかったけれど、独特なグループだったという認識は強い。
ロジャーもブライアンも歌う。ロジャーはラジオガガを、ブライアンはWe Will Rock Youを歌ったが、両者とも予想以上にいい。

初めの方で出ていた若いアーティストたちの歌は音域が狭く、声量がない。
だから聞いていてつらい。
ブライアンや、ロジャーの方がよっぽどロックらしい。
私はフレディ・マーキュリーを決して好きと言うわけではなかったが、彼の声量、声質は素晴らしかった。特に高音の伸びなど、胸のつかえが取れるようなきれいな響きだった。
あんなボーカリストがもう一度出て来ないかなと思う。

そしてステージでなんとあのむつかしい「ボヘミアン・ラプソディ」を完全演奏した。

「We are the champion」を歌った人は音域が狭くて興醒めだったが「ボヘミアン」を歌った人はルックスもどこかフレディに似ていて怪しく(笑)、素晴らしい高音を聞かせていた。しかもコーラスが沢山いて、あの後半部分を完璧にカバーしているのに感激した。
フレディは、やはり得難い才能だった。決して好きではなかったが、あの幅広い音域と抜きん出た音楽性は、なかなか他には見出せるものではないのだなあと、今更思うのだった。

途中、女王が登場してからはまさになつメロ大会になる。
クラプトン「いとしのレイラ」、私は何十年ぶりかで聞いたのではないだろうか、「レイラ」を。
とくればスティーブ・ウィンウッド、ジョー・コッカー、レイ・デイビスなど
ここまで来れば、出てくれないかなと思っていたら、出てくれたレイ・デイビス…なんて誰も知らないだろうが、さすがに英国では誰でも知っているのだった。
そしてロッド。

女王の戴冠50年を記念してのコンサートだけに、ものすごく豪華なメンバーだ。
私には嬉しい、なつかしい系のアーティストの方が多かったのが何とも楽しい。
始めはいい加減に見ていたのだが。

 

クラプトンが出て来てレイラを歌うのを聞きながら、このコンサートに、ジョージ・ハリスンがいて欲しかった、どこかに…そう思った。

トリはポール・マッカートニーだ。
「Her Majesty」を女王の前で歌ってしまう。女王が怒るのではないかと心配する。
でも、許してしまう女王は太っ腹だ。

そして…、While My Guitar Gently Weepsだ!
ポールと、クラプトンがこの歌を歌うのだった。
私はこの歌が、ビートルズの歌の中でも2番目くらいに好きだ。
感動した。涙が出て来た。
あの印象的なイントロ。あれは実際のレコーディングでもエリック・クラプトンが弾いていたのだ。34年も前の話だ。
この場にジョージがいて欲しかった。でも、もういないからこそ、ポールとクラプトンがこうして共演するという奇跡が起こったのだ。
クラプトンが精一杯歌うホワイル・マイ・ギター。
ジョージには聞こえただろうか?

そしてジョンの「愛こそはすべて」(イントロは英国の国歌バージョン)、ラストは「ヘイ・ジュード」。

英国人が羨ましくなった。

恐らく英国人は全員が「ヘイ・ジュード」を知っているだろう。
バッキンガム宮殿の外では、10万人の観衆が集っていた。皆がヘイジュードを合唱する。
英国人にとって、ビートルズは誇りだ。

私もビートルズが大好きだ。
ビートルズが、自分の身内か何かのように好きだし身近に感じている。
でも、同国人ではない。彼らは英国人のものだ。
もしビートルズが、私の国と同じ国の出身だったら、どれほど私は誇らしいだろうか。
だからこういう時、英国人が羨ましい。

最後に女王は、コンサートの舞台に上がっていた。
登場したすべてのアーティストが勢揃いしている舞台に、女王も立つ。
英国のこういうところが素敵だ。
彼らがどれだけビートルズを自慢してもいい。それだけの価値はあるから。

 

02/7/12 引越しのサカイのCM

突然だけれども引越しのサカイのCMが新しくなっている。

どこかのレストランの厨房らしく、シェフ姿の徳井優が包丁でリズムを取りながら、

いいじゃん、すっごいじゃん、サカイじゃん

というもの。

一番はいいじゃん、安いじゃん、サカイじゃん
だったかもしれない。

厨房が舞台となっているので、ぱっと見には何のコマーシャルだか分からないのが難点か。
評判ももうひとつらしく、あまり見かけないのだが、リズミカルな所がとても気に入っているので、もっとよく見たいものだ。

ロングバージョンでは、

Gジャン、革ジャン、カジュアルじゃん、あうー

と言っていた。
相変わらず無意味におかしい。
ただ、あまりにも作りすぎて、狙いすぎの感があるのが、今いち受けない理由か。

***

サカイのCMは、あの日本語学校編が最初のものだった。

引越しは、引越しのサカイ

と外人が生徒の日本語学校で、怪しいティーチャーが連呼するだけものだった。

引越しは、引越しのサカイ

と言ったあとでトゥギャザー、と言うのが妙にツウぽくて、私の中では2重丸だった。
最後にカメラが教室をパンするのもグッドだった。

ロングバージョンではティーチャーが
もうかりまっか

と言うと生徒が揉み手して無表情に、
ボチボチでんなあ
と言った。

サカイのCMは、マイナー企業にありがちな社名を連呼するだけのものなのだが、サカイはそれにリズムを付け加えて、覚えやすく、誰でも口ずさめるようにしたのが勝因だったと思う。

ただ、地方CMだから何年も何年も、いやと言うほど同じCMを流し続ける。
それもまあサカイの認知度アップにつながったのだから、狙いがずばりと当たったということだろう。

サカイは全員アルバイトだ、という噂もあったが、認知度が上がり、快進撃を続けた。

CMの第2弾は、家の棟上で、神主が

引越しのサカイはおトクやさかい、と言うと

家族が
小金たまって家も立つ〜
とあとに続き、最後にカメラがこの様子を俯瞰した。

相変わらずいい感じのリズムとカメラである。
これもロングバージョンがあったようだが、思い出せない。

このCMも何年も続き、関西人を辟易させた。しかし、多くの関西人は楽しんでいた。

 

次に、エレベーターから出て来た歌謡漫才コンビが、
勉強しまっせ、引越しのサカイ

と拍子を取りながら歌う第3弾が登場した。

女性の相方が、
ほんまかいな、そうかいな
と合いの手を入れる。

このころになるとかなりリズムを前面に押し出すというコンセプトが明確になって来た。
最後にエレベーターのドアが異常に早く閉まるのがなぜなのか、謎だった。

サカイのHPによれば、これから以降、いろんなバージョンのCMが作られている。
(サカイでアミーゴ編、サカイでいっとけ編、サカイのナニでナニしたら編など)

異色なのでは、徳井優が、屋台で
サカイが一部上場?誰のおかげや。わしのおかげや…
とぼやくぼやき編もあった。

私の知らないものもある。放映されていたのは知っていたが、覚えられないものもあった。短命で終わったものもあり、やはり好評不評があったようだ。

最近では、

サカイー、安いー、仕事きっちり

がまたまたブレイクした。

日本舞踊のおけいこで、師匠が二人の女弟子に稽古をつけているが、向かって右側の子が師匠の言いつけを聞かない。師匠がたたたと小走りにやって来て、

もうー、違うでしょ、あけみちゃん

と言って、もっとマタを開くように要求する。
味わいぶかいCMだったが、これも何年も続き、楽しみながらも辟易した。
例によってロングバージョンもあった。

後半、日本舞踊から旅館の仲居編に移行した。
仲居が、女中の掃除に怒り、
もっときっちりしてや
と言うと、女中が
きっちりしてますわ
と反撃。
二人でお腹を付き合わせてやりあう。

オール阪神さんが吉本新喜劇の中でギャグにして受けていた。

仕事きっちりは、もう1つベリーダンス編があった。

セリフは日本舞踊編とまったく同じで、どこかの南国の島のダンスを練習している所。
無茶苦茶ナンセンスだったが(そんなダンスのお稽古をしている所なんてないだろう)、長くは続かなかった。

 

サカイのCMは、これからも楽しみだ。
だが、これらのCMは全国的なものなのか、関西だけのコンセンサスなのか、そこが今ひとつ把握出来ない。
勉強しまっせから全国放送された、という情報があるが、その後放送され続けているのだろうか。

サカイのHPはこちら

 

02/7/8 サッカーより選手の姿…オリバー・カーン

しつこいようだが、未だにサッカーを積極的に好きになろうという気持ちはない。

それなのに、サッカーを本当に好きな人も、もうW杯のことは忘れている、
世間はすっかり元の生活に戻り、W杯を引きずっている人はいなくなった。
そのことに、どうしてみんなこんなに切り替えが早いのかと驚く。

私は、映画を見ても感動を引きずるタイプで、何か心に思う所があればいつまでもそれを心に残し、気持ちを留めておこうとする。

サッカーというスポーツを好きになったのではない。サッカーに興味を持てたとは思わない。
ただそのスポーツをする選手たち、その姿に興味を持った。
どんなスポーツでも…あるいはスポーツでなくとも、一流といわれる人間の仕事、行ないを見ることは喜びだ。
だから興味が最後まで続いたのだろう。

***

少なくとも1つ、記憶に留めておきたい場面がある。
それは多くの人が私と同じような感想を持ったシーンだと思う。
自分が感動を引きずる人間であり、それを文章にして残しておきたいという欲望を持つ人間として、その場面をどこかに、どうしても書かずにはおられないのだ。
時間は経ったが、自分がいかに感情に左右される人間かを記録するという意味でも、以下を書き、残すことにした。

***

 

その場面は、唐突にやって来た。

ブラジル×ドイツ、決勝戦。陽気なブラジルが素晴らしい試合をして勝ちを決めた。
戦意を喪失したドイツ、こんなドイツは見たくなかった…、そう思った瞬間、ホイッスルが吹かれ試合が終了した。
ブラジル優勝。
その直後、W杯の、最後の最後でその最も重要な、あまりにも壮絶な場面はやって来た。
こんな場面に遭遇するなどと、W杯が始まった時には想像したこともなかった。

負けが決まった瞬間、ゴールポストに寄りかかり、やがてそれを背に身体を沈めてその場に座り込んだオリバー・カーン。

彼が座り込んだ場所は、サッカーのボールが帰って来る場所。
そこに彼はタオルをぶら下げ、黄色いドリンクを置いていた。まるでそこが自分の家であるかのように。
自分の家を守る。誰もそこに入ることを許さない。自分だけの聖域。負けても彼の聖域は彼とともにそこにあった。その時、ゴールは彼のものだった。

 

どんな映画の名場面にも真似の出来ない、しかしまるで映画の中の出来事のような、あまりにも見事なそれは光景だった。

負けるというのは、こういうことなのか。
負けるという事実を受け入れるとは、こういうことなのか。

オリバー・カーン本人にしてみれば、それは心を粉砕されるような悔しい、残念な出来事だっただろう。
だが。彼が、負けという事実を受け入れた瞬間のそのさまは、見ている者に同情とはまったく別の感情を抱かせた。

 

日本人は古来より義経をこよなく愛してきたように、敗者に美を見る判官びいきの民族である。
私にもその日本人のDNAが色濃く、確実に胎内に受け継がれているのだ。それは自分の身体であるからよく分かる。
その私の中の日本人のDNAが、心で叫んだ。

なぜその姿を美しいと感じるのか。
なぜその姿を見て涙を流すのか。
いや、なぜ敗者の姿を美しいと感じる自分がいるのか。

サッカーの残酷な神はカーンにこの場面を演じさせるため、彼を敗者としたのだろうか。

そうとしか思えない。彼は負けて我々の記憶に永遠に残る存在となった。
負けてこそ、カーンは存在した。

W杯というスポーツの大会で見た、思いも寄らないドラマ。
ひどいW杯だったという気持ちもある。だが美しい場面があった。

相変わらずサッカーを好きになろうとは思わない。だが一瞬の輝きを見せてくれるのがサッカーだというのなら、あるいはそれを見続ける自分がいるかもしれない。

 

02/7/6 サッカー嫌いの見たW杯のこと 1

サッカーが嫌いだと何度も言うのにワールドカップを見た。
尤も日本戦でも途中でお風呂に行ったし、決勝戦のブラジル×ドイツ戦もやっぱりお風呂に入った。
だから最初から最後までずっと見ていたという試合はないはずだ。

前半が45分後半が45分という試合時間を今回始めて知った。
それくらい何も知らない。
ワールドカップが終わった今、サッカーが好きになったかと言われれば、決して好きだと答えないだろう。
Jリーグを見るかと問われれば見ないと答えるだろう。

W杯の何を見ていたかというと、世界の選手のプレイ、ワールドカップだから登場してくる選手たちの個性、そんなものを楽しんでいたのではないか。

 

とにかく、何度も言うが私はサッカーなど何も知らないし、嫌いだと自分で自覚していたのだ。

サッカー選手として知っているのは中田ヒデ選手と中山選手くらいだったろうか。
ジダンはもちろん、ロナウドだって知るはずがない。
ベッカムに関しても、美形の選手がスパイスガールズと結婚したらしいと言う情報だけで、どこの国の人間かも知らない。
私は一般人なので、そんなことは知らなくても一向に平気である。
知っていた所で何の得にも損にもならない。自慢にもならない。

その代表的一般人が、W杯で何を見たのか。

***

開会式は家族で見ていたようだ。
アナウンサーがいい開会式ですねと言っていた。
そうか?
その時、可笑しいと気づけば良かったのだが。

 

試合は日本×ベルギー戦から見たようだ(既に覚えていない)。

私が一番感動したのは、この試合だったような気がする。
私だって、日本のサッカーを馬鹿にしながらも(失礼)やはり気になっていたのだろう。
日本のサッカーがどこまで世界に通用するのか、それを見極めようとしたかったのかもしれない。

背の高い、体格のいいベルギーの選手に対して懸命に飛び上がり、必死にボールを奪う姿には、胸が打たれた。
点を取られたら取り返す。
最初のゴールが決まった時の嬉しさ。
ベルギーに少しも引けを取らない試合はこび。
日本って、こんなチームだったのか。

しかしたかが勝ち点1で狂気乱舞する日本には、合点出来なかった。
ああ、もう勝ち点が取れないからかもしれない。だから今のうちに喜んでおくのかも。

そう考えれば、何となく分かって来た。
日本が勝って当然の強いチームだったなら皆はこんなに日本人も必死になっていないかもしれない。
阪神のファンは、なぜ阪神のファンをしているのか。
それは、阪神が弱いからだろう。
阪神が常勝の強いチームだったなら応援するコンセンサスなどないのだ。

サッカーファンも、日本が弱いからこそ、頑張れと応援しているのかもしれない。
それなら何となく分かる。

それからは、素直にワールドカップを見た。ような気がする。

 

とりあえずつづく

02/7      TOP /

2style.net