07/04/20 ショックを超えて ジョン・レノン関連

07/04/20 ショックを超えて

長崎市長の事件に、思っている以上のショックを受けたのは、日本国民として当然なのかもしれない。

思ったのは、市長が、日本人には携帯を禁止されている銃器で暗殺されるほどの大変な悪人だったのか、どんな悪いことをしたからあんな仕打ちを受けたのか、ということで、いくら考えても理不尽だとしか言いようがなかった。

ちょっと前に起ったアメリカの無差別殺人とは違い、市長をわざわざ狙っての犯行だ。

あれほどのことをされるからには、それなりの、あれほどのことをされるだけの理由があったからなのか。

 

私が頭を捻った末に導き出した結論は、市長はいい人だった。そして、いい人だったからこそ狙われたのだということだ。

そうとでも考えなくてはきちんとした理由が思い浮かばない。

私は、ジョン・レノンが暗殺された時のことを思い出した。

 

このことを語り出したらもう止まらないと思う。だから、大筋ははしょって、大まかに触れる。

あの時、テレビでそのニュースを聞いた私は家を出て、なぜか京都駅地下街のポルタをふらふらとさまよい歩いていた。

そして、いろいろな店に入って陳列されている服を物色した。

店に、ジョンの曲が流れているのを確認したかったのだ。

あの時、世の中は一体どうなってしまったのだろうと、それを確めたくて外に出た。

でも世の中は、何一つ変わることなく平穏に時が過ぎていた。

それは、私にはとても理不尽なことのように思えた。

ジョンが銃撃されたというのに、世の中のこの平和ぶりに腹が立った。

 

あの時も私はなぜジョンのような人が銃で撃たれなくてはならないのか、よりによって、愛と平和を提唱していたあのジョンを、どんなに考えても狙う理由がない。そのことを考えぬいた。

もっともっと、銃で撃つというなら、それに価する悪人は、他にいるではないか。

なぜ、ジョンでなくてはならないのか。なぜ、ジョンを撃たなければならなかったのか。

 

もし狙う理由があるとすれば、それはジョンがジョンだったからだ。

平和を訴えたからこそ。

そしていい人だったからこそ。

もし考えられる理由があるとすれば、ジョンが人よりずっと金持ちで、もう働かなくても食べて行けて、それでいてのんきに愛だの平和だのと唱えていて、そして何よりもジョンが有名人だったからだ。

多分、ジョンを撃った人はジョンと正反対だったのだろう。

有名でもなく、金持ちでもなかった。

でも、それはジョンのせいじゃない。

犯人が金持ちではなかったのは、ジョンのせいではない。だから貧乏人だからと言って、金持ちのジョンを撃って良いことにはならない。

 

人を、仮にも銃で撃とうと考えるような人は悪い人だ。

悪い人だから、いい人を妬むのだ。

撃たれる側に責任はない。

悪い人は、いい人のいい人ぶりに嫉妬するのだ。だから、悪い人がいい人を狙う。

 

政治家でなら、もっと、裏で良くないやり方で私腹を肥やしているような人はいくらでもいるような気がする。

もっとあくどいのがいくらでもいるような気がする。
(気がするだけでこんなことを言ってはアレだけれども)

でも、そんな人は狙われなくて、むしろ落ち度のない人が狙われる。理不尽なことだ。

でも、悪い人はそういうのは狙わない。

同じように悪い人だから、同類だと思うのに違いない。悪い人が狙うのは、いい人なのだ。

ギブ・ピース・ア・チャンスと言い、貴方が望みさえすれば戦争は終わるのだ、と歌ったジョンが撃たれたのは、そういう、当然のことを言うことが許せない人がいるからなのだろうか。

 

☆ ☆ ☆

私はもともとジョン・レノンが大嫌いだった。

オノヨーコという怪しげな東洋人と一緒になり、押しつけがましくラブ・アンド・ピースなどと言うようになってから、ビートルズを壊した張本人だと思うようになり、嫌うようになった。

けれどもあることを知ってから、怪しげなヨーコが実は本当にジョンを愛しているのだいうことがと分かり、それで考えを改めた。

あることとは、ヨーコはジョンと知り合った時点で彼より年上であり、そこそこの高齢だった。けれどもジョンの子供を欲しいと思い、何度か妊娠したのだが、その度に流産した(確か、二回くらい流産した)。
ヨーコはさらに高齢になったが、それでも諦めずに妊娠して、ショーンを生んだ。
ということだった。

このエピソードを聞いた時に、ヨーコは人類に向けてラブ・アンド・ピースなどという前に、目の前の夫を愛していて、どうしてもその人の子供が欲しかったのだろう、普通の婦人として普通に男性を愛する、まっとうな女性だったのだと、そういう風に思われ、ジョンとヨーコに対する嫌悪感が薄れたのだった。

同時に、毛嫌いしていたジョンに対しても理解したいと思うようになって行った。

 

西洋人にあって、戦争は悪い、ラブアンドピースこそが大事、という思想を持つ人は、少ないのではないだろうか。

日本人ならあの戦争での反省があり、子供の頃から戦争はいけません、と教え込まれる。だから、問答無用に戦争はむごいことだと思っているけれど、西洋人は必ずしもそうではない。

イノセントなジョンは、おそらく日本人のヨーコにこんこんと戦争は悪いことなのだ、と教え込まれたのではないだろうか。今となってはそんな風に思う。

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