Doll Maniacs

Opinion

Dolls are tied up
人形はなぜ縛られる

2000
2002/4 再録

以下の文章は、HP開設後まもなくに更新した文章で、多分2000年の始め頃だったと思います(よく覚えていない…(^_^;))。
2年経っていますが、この苦悩は今も変わらないと思うので、ここに再び収録いたします。そして今再びこの苦悩を分かち合おう(笑)。


バービーを買ってきて家に帰り、いざ箱を開けようとすると、針金で人形の体ががちがちに縛られてあり、どのように努力をしても30秒以内で箱から出す事は不可能だ。

新しいDOLLを買うとワクワクして、心がはやり、一刻も早く中を開けたい、と思うのは、これは人情だろう。
でも、がちがちに縛った針金の融通のきかなさが、そんな心のときめきをたちまちのうちに萎えさせてしまう。

困ったものだ。

最近のコレクターバービーは、しかし、箱から出すまでもなく、箱の中できちんとディスプレイされ、いかにもこれを触ってくれるな、このまま箱から出さずに飾ってくれといわんばかりである。

やはり、これは箱から出さず、そのまま飾っておくべきなのだろう。そのように、メーカーも、暗に匂わせているようだ。
あのがちがちの針金が、そうだと主張している。

それはそれでいい。コレクターものは、箱のデザインからディスプレイから人形から、三位一体となってひとつの作品として完成されているのだから。
困るのは、プレイラインのピンクボックスのバービーまで針金でがっちりガードされている事だ。

せめてピンクボックスのバービーくらいは箱から出して遊びたい。と思うではないか。

ここで、DOLLを出して遊びたいという欲求をx、箱から出すまでに要する時間をyとすると

     ×y²

という数式が成り立つ。
この時、
zはいらいらする気持ち、と考えられるだろう。

このように、箱から出すまでに要する時間が長ければ長いほど、いらいらは反比例的に増大する、という公式が成り立つのだ。

なぜあのような不粋な針金で、私たちはいらいらを増大させなければならないのであろうか。

 

日本のドール(即ちジェニー、リカちゃん)は、その点では1歩すぐれていると言わなければならない。

小さい子供さんたちにも楽に取り出せるようなゴム製の止め具。止めてあるのは最小限。それでいて人形がずれたり、動いたりする事はない。

なかんずく梱包を解いたあとは直ちに止め具は捨ててくれ、などという懇切丁寧な注意書きまでされている。間違って子供がそれを口に入れたりする事がないようにである。

全体的に、日本製品は、それが子供の玩具であるという、根本的な事実を認識した上で、対応がなされているといったふぜいだ。

子供の行動の先を読み、カユいところに手の届く心配りのされようだ。
アフターケアも万全という訳だ。

このようなきめの細かい心配りが、東洋人のいいところだ。お客さまに不愉快な思いをさせないようにと、最善の配慮がされている。

それに比べてアメリカ製品は、大ざっぱというか、そこら辺の心配りが何一つなされていない。美しくディスプレイする事だけ考えていたら、実用方面に関してはまったく配慮するのを忘れていた、という感じである。

どこかずれている、というか、片手落ちというか、根本を忘れている。

ジェニーなど、2箇所止めてあるだけなのに、ちゃんと動かず、ディスプレイされているではないか。だから、あんなたいそうにがちがち止めなくても、2箇所止めておけば本当は大丈夫なのだ。大丈夫なはずた。私はそう思う。

 

だが、がちがちなのは、なにもバービーだけではない。よく見ると他のアメリカのメーカーも皆そうなのだ。

スターウォーズやGIジョーのハスブローも、ガルーブ社も針金がちがち派だ。
ルーク・スカイウォーカーの後ろを見れば、針金をさらにご丁寧にセロテープで止めてある。スパイスガールズだって、がんじがらめだ。

ということは、アメリカ製は総じてがんじがらめなのだ。

アメリカ国民というのは、よほど大ざっぱな国民であるらしい。わたしらのような繊細な日本国民には理解不能な物の扱いようだ。

動かないようにするために必死で、遊ぶ人のことを忘れ去っている。
そうでなければ、これらが玩具であるという認識がないか、だろう。あるいは、アメリカではDOLLはパソコンの部品の1つだという考えがあるのかもしれぬ。

 

冗談はさておき、香港の、ドイツ兵シリーズで旋風を巻き起こしたドラゴン社(このネーミングがなんとも、らしくて好き)のパッケージを見てみよう。

扉付きボール箱の仕様はバービーのものと同じ。中身を元に戻せば、再びNRFB状態に戻ってくれる。そして、人形本体はブリスターパックと同じようにプラスチックの入れ物の中に、サンドイッチ状に挟まれている。
プラスチックの蓋と入れ物とがあって、入れ物の方は人形の形にくりぬかれ、そこに人形が入っている。蓋は凹凸がなく、入れ物に被せてある。ブリスターのようにくっつけられておらず、菓子箱のようにぱこっと外せる。
透明なので扉を開けても中身は見える。
人形を取り出しても、またプラスチックの入れ物に収め、ボール箱に入れるともとのNRFBだ。

これは、何とすぐれもの。
さすが香港。さすが東洋。

止め具なしでもこのように、アイデア次第で消費者の喜ぶ処理が出来るのである。

ああ東洋人の繊細さとアイデアに、つくづく誇らしさを感じる昨今。

と、いうことはアメリカ人はばかだ、ということであろうか。

あっ言ってしまった。


補遺) ジェニー系ドールのパッケージの不満は、天の部分がセロテープで止めてあるという事だ。あのセロテープをはがすだけで、バービーのパッケーNRFBではなくなってしまう。この点ではジの方が、簡単に元に戻せるという事で、好きなのだ。

補遺2) NRFB=Never Removed From Box

註) 数式は架空のものである。

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