Doll Maniacs

Opinion

この文章は、2000年の2月13日に初アップしたものです。
12インチの人形の世界で、満足のいく男性ドールがなかった私にとって、ドラゴン人形との出会いがいかに嬉しかったかを、ルックスの点から(笑)言及しています。
現在ではドラゴンの人形も欧州人に見えないとかいろいろ言われており、また他のメーカーからもかなりの男性ドールが出るようになりました。
ドラゴン以外にも優秀ドールは、今では数多く出回っているようです。
それでも、ドラゴンドールとの出会いは、ときめくものであったことには変わりありません。
02/6/11

Boy Dolls' Secret History

男人形の遍歴

2000/2/13

 

女の子人形でもそうなのだけれども、私が人形を買うのは、まず顔。
とにかく顔がいちばん大事。

12インチの世界においては、男の子人形は悲惨だった。
日本のわたるくんやイサムくんを始めとして、ジェフやチャールズだって、どうにも納得できるお顔ではなかった。私にとってはだが。
わずかにレイフくんが健闘しているといった程度だった。

だからレイフは人気があり、一時は争奪戦が華やかだった。
(今は常時販売されているのでそういう事はなくなった)
私もレイフくんと、リカパパが、タカラドールでの御用達だった。
でも、パーフェクトではない。何だか頼りなくて、情けないという感じがどうも抜けない。

バービーのボーイフレンド、ケンはもっと悲惨だ。
ヴィンテージの、アンソニー・パーキンスが下痢をしたような(失礼!)ルックスもそうだったけれど、70年代の、ロバート・レッドフォードをモデルにしたとかいうルックスも、そうとうキテいた。

それからも色々な変遷があり、現在はトム・クルーズ顔になっている。
私はこのトム・クルーズも好きになれない俳優なので、どうもケンとは相性が悪い。
「ケン使い」のともこさんには悪いが、私はどうもケンでは納得がいかないのだ。

ひとつには、あの、脳天気そうな、知性の感じられない口を開けたスマイルのせいかもしれない。

「ロミオとジュリエット」のケンなど、かなり男前でいけてると思うのだが、いかにも楽しそうに笑っていて、悲恋の主人公だという苦しみとか、悲しみをこらえた雄々しさとかがひとつもなくて、どうにも物足りない。

あのスマイルには、無意識のうちにアメリカの脳天気なお兄ちゃんが反映されているのかもしれない。
私はそこに不満を感じるのだろう。

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男の子ドールで昔から有名なのはGIジョーだ。

彼が復活を果たした時のクラシックコレクションは、昔のモールドから一変して、新しいフェイスになった。
これは、ジャン・クロード・ヴァンダムに少し似ていて、悪くなかった。
なぜなら、私はヴァンダム・ファンだったからだ。

でも、まだパーフェクトではない。
私にとって、ヴァンダム・ジョーはまだまだデリカシーに欠けるお顔なのだった。

何年かして、21stセンチュリートイズというトイメーカーが12インチ用の装備品を発売し始め、さらに続いて素体も発売した。
非常に安価で、質も良かったため、内外で評判になった。

私も実は装備品を買った。
ベトナムも第二次大戦のそれも区別がつかないというくらい、何も分からないくせして節操のないことに、買っていたのだ。

だが、ここの素体はおむすびをつぶしたような顔をしていて(失礼)、全然良くなく、ひどくがっかりした。
(もっとも今21stでは、いろんな顔をしたドールが発売されている)

やっぱり男ドールはだめか、などと諦めたころ、香港のドラゴン社が、いきなり狂ったようにドイツ兵ドールを発売し始めた。

このドラゴンの最初の「ハンス」くんを見た時、私はようやく、やっと違和感のない男の子ドールが現れた、と思ったのだ。

なぜ香港がドイツ人を、と思うが、また、ドイツ人とイギリス人の違いも分からないのだが、とにかく、このハンスはデフォルメもなく、ごく自然で、人間ぽい。
フェイスはハンサムというより、なかなか知性を感じさせるルックスになっていて、それがいっそう良いと思われた。
今までの男の子ドールの惨憺たる歴史からしてみれば、奇跡的な出来の良さだ。

だからして、私は一夜にしてドラゴン・ファンになったという訳なのだ。

このドラゴン社も、始めはドイツ兵だけで、ドイツ兵だけを出していくのだろうと思っていたら、そうではなく、NYPDとか、ブリティッシュSASとか、香港国際警察(ジャッキー・チェンが演じていたやつだ!)とか、もうさまざまなバリエーションを発売している。
また、フェイスも、中にはゲアハルトさんのようにお笑いに走っているのもあり(あれ?あれはまじか?)、バラエティに富んでいる。

偏りがなく、非常にバランスがとれていると思う。

そういう訳で私の男性ドールの遍歴は一応、ここに終結を見た。

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